ワンオペに悩まないで

ワンオペ育児とは

「ワンオペ」というのはもともとは飲食店などで従業員一人のみでお店を回している状態のことです。

言葉が有名になったきっかけは2014年に起こった牛丼チェーンの「すき家」での強盗事件で、事件が起こった深夜時間帯はほぼ常態的にワンオペがされていたことが明るみに出ました。

「ワンオペ」の場合、当然他に仕事を任せることができる人がいませんので、どんなに忙しくても休憩をとることができず、会計からサービスまで全てを一人のみで行わなくてはいけません。

そのため飲食業界における「ワンオペ」は、そのまま「ブラック企業」という印象になってしまいました。

そしてそのイメージを引きずる形で言われるようになったのが「ワンオペ育児」です。

「ワンオペ育児」は飲食業同様に、子供の面倒をすべて一人のみで見るということを指しています。
子供の食事やオムツ替え、部屋の掃除や選択など複数の業務をすべて一人で行うことから、飲食業界のそれとかなり近いものです。

ワンオペ育児にもいくつか種類があり、夫婦のうち夫が働きに出ているので平日の昼間がワンオペ状態になっているという場合や、単身赴任や事情のある別居などで一人になってしまっている場合などがあります。

なぜこの言葉がことさら大きく取り上げられるかというと、こうしたワンオペ育児状態に置かれている人(主に女性)は精神的にも肉体的にも疲弊していることが多く、限界ギリギリの状態で行っていることが多いからです。

ワンオペ育児の問題は、その大変さが周囲にわかってもらえず「昔はそのくらい母親なら誰でもやっていた」「金を稼いできてもらっているのだから文句を言うな」というふうに愚痴を封じられてしまうことにあります。

精神的にも肉体的にもギリギリで頑張っているのに、その働きを認めてもらえないばかりか「家事に手抜きをするな」というようなことを言われてしまうと、強い怒りや落ち込みを感じてしまうでしょう。

ワンオペ育児の苦労

ただ一つ理解しておきたいのが同じ「ワンオペ」でも、子育ては決して「仕事」ではないということです。

家事を給与に換算するという話もしばしば聞かれますが、本来的には家事仕事や育児は給与をもらって行うものではないため、金銭で考えるのは間違いです。

問題はワンオペ育児状態におかれている人の多くが孤立感を感じていて「誰も自分のことを手伝ってくれない」という絶望感を感じてしまうことにあります。

仕事ならまだ辞めるという選択肢もありますが、親となった以上簡単に「やめた」と投げ出すわけにはいきません。

大切なのはその家事が「ワンオペだ」と感じないように、家族や周囲の協力体制を作っていくということです。